久しぶりの釣行。
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しかしなんと言う事だろうか
前々日の夜から
この冬最強と言われる寒波が私の地域にもぶち当たり
昨日は風速10mを越えるような暴風と今年初の降雪を記録し
県全体で暴風雪警報が発令されるほどの荒れ模様となった。
そして今日
小さい水域の表層が凍りつく寒気と
前日から続く強い風、時折ちらつく雪が
容赦なく人間とフィールドの温度を奪い去っていく。
魚を釣るということに関して言えば
考えうる限りでは最悪とも言って良い状況
であることは間違いない。
この状況では小さい水域(野池)は壊滅状態だと私は判断
今回は少し遠出をし、夏ごろよく行ったリザーバーへと足を運んだ。
もっとも、かなり久しぶりのリザーバー釣行であるし
何より夏の知識は大して役に立たないだろう(結構適当にやってた)ということから
ほとんど何も分かっていない状況での対寒波戦となる。
おまけにこの状況下で私が自身に課した課題は
リミットメイク
しかも釣りは
シャローフィッシング
という無謀とも言えるものだった。
まぁ賢い人間は確実にディープの個体を狙っていくだろう。
だが魚探もない私にとってディープの魚を探そうと思っても
あまりに土地勘がなさ過ぎる(冬のスポットが全く分かってない)
ディープやっちゃ釣れん!
と判断した次第だ。
巻きのクランク!
撃ちのフリップ!
抑えのスピナベ!
バイト数自体が激減するこの厳寒期に色々やっても中途半端になるだけなのは既に経験済み。
なるたけやることを絞り込んでの釣行となった。
ライトリグ?
釣れる気がせんわい。
結果
シャローでは4時間ノーバイト。
いやうんわかってましたよ。
いくら野池と違ってプロテクトされるようなカバーがたくさんあると言っても限度がね……
というかそもそも風強すぎでシャローを丁寧に釣りすること自体が困難だし……
と言う事で柔軟に対応。
シャローが駄目なら当然ディープ。
だがディープホールなんて探しようもなく、魚探もない私ができることは
やはりバンクフィッシング以外ないのだ。
バンクを狙いつつもディープを攻略する……
そのために必要なのは
岸際で急深となるスティープなバンク
いわば垂直岩盤系のエリアだ。
さすがリザーバー、そういうエリアはたくさんある。
私はタックルにフットボールジグを結びつけ垂直岩盤の攻略へと着手した。
最近フットボールジグを多用していた事もあり
徐々にフットボール場というのが分かってきた。
今回もさまざまなルアーがある中で
あえてフットボールジグを選んだのは
ここがその場であるという選定があったからだ。
私は垂直岩盤にジグを落としていく。
しばらくバンクを流していると
『カツッ』
っと何かに当たる感覚がした。
(・ω・`)オロ?
丁寧にジグを操作していくと、どうやら木か何かに当たったみたいだ。
スティープなバンクにある種引っかかるブッシュ……
へー、こんな所にあるもんなんだな
などと暢気に構えていたら
『カツッ』
とまた何かに当たる感覚が竿に伝わってきた。
……これはジグだけでなく釣りの経験値が成しえる事なのかもしれないが
自分が操作したときの強さや速さ、ルアーの重さや沈下速度などを考慮すると
ルアーが物体に当たった時の感覚と言うのはだいたい把握出来るようになってくる。
この時私の手元には、木か何かに当たるような感覚が伝わってきていた。
しかし自分の操作感、スラック、ジグの重さを考慮すると
わずかに、その当たる感覚というものに違和感を覚えたのだ。
違和感を感じたその次の瞬間、私はロッドを跳ね上げていた。
決して確信があったわけではない。
吹けば飛ぶような些細な違和感に反応して、私はフッキングしたのだ。
その刹那、竿先が絞り込まれ鈍い重量感が手元を支配する。
そこから感じ取れる確かな生命の息吹。
『魚じゃん!』
そう叫びながらしっかりと寄せ、私は一気に抜き上げた。
極寒の中手にした魚
40cmあるなしだろうが肉厚でナイスコンディションの魚だ
手袋無しじゃ10分もちません
やっぱりスティープなバンクか~
と思うと同時に
よくあのアタリを感じ取ってアワセたなと自画自賛する。
後で何度か確認したのだが
ほとんど木にジグが当たった時の感覚と遜色ないレベルのアタリだったのは間違いない。
常人ならば、あのアタリの後竿先にグングンと伝わる(かもしれない)感覚で
ようやく魚だと判断する事が出来るぐらいだろう。
フットボールジグのようなタイプのルアーでは
アワせるまでの時間が長くなればなるほどバスがルアーを吐き出す可能性が高くなってしまう。
構造的な理由からも、アタリがあったら即アワセが基本のフットボール。
カツッと手元に来た短く、軽いアタリの段階でアワセられたのはまさに技ありだったと思う。
これも
『違和感には全てアワせる』という心構えがあってこそ。
魚かもしれないし魚じゃないかもしれない
疑わしきはアワセてしまえ、という精神だ。
これがこの1本を引き合わせたと言っても過言ではないかもしれない。
これで味を占めた私は
急深な岸をフットボールで撃ちまくる。
小規模といえど腐ってもリザーバー。
そういうスポットはたくさんある。
だが、アタリは続かない。
あと4本釣らねばならないのに残り時間は1時間を切ってしまった。
冷静に分析すると
ただ単純に垂直な岩盤であれば良いのかといえばそうではない気がしてきた。
1匹目に釣れた魚は、ある程度沈ませた場所に木か何かの魚が引っかかれるだけのブッシュがあった。
これが大事だったのではないかと仮説を立て
とにかく何でもいいからと今度は引っかかる物を探していた。
止まない風に翻弄され、ボートの操船もままならない中
底に付いたフットボールに何やら妙な重量感が糸を通して手中に伝わってきた。
ウィードに引っかかったのか、ビニールでも引っ掛けたのか
鈍く、重い感覚。
その感覚に、針穴のような極微小な違和感を感じ取り
身体は思考を放棄して、ただただロッドをしゃくり上げていた。
途端伝わる生命感。
水面へと顔を出した大きな口に手を伸ばす。
がっしりと下顎を掴み、引き上げた魚体は肉も脂肪もタップリのクオリティフィッシュだった。
水深3m前後の石か何かが点在するスポットでの1匹
やはり何かが引っかかる場所にいた
この魚なんてアタリらしきモノの一切がなかったレベルだ。
正直自分自身でもなぜフッキングしたのか分からない程の
極々僅か、誤差の範囲と言っても言い過ぎではない程度の違和感。
それを物にしたのは
さすがと言いたくなっても仕方がない気がする。
『天才すぎるわ……( ・´ー・`)』
そうひとりごちる私の声は、吹き荒ぶ風にかき消され誰もいない湖上に消えていった。
リミットメイクまで残り3本。
しかしこの後魚が釣れることはなく、納竿となった。
当初の目的であるリミットメイクは達成できなかったものの
今日というコンディションと土地勘のないフィールドで
単日2匹というのは言う程悪い結果ではないかと思う。
そもそもリミットメイクという課せ自体が半ば自棄というか
坊主でもおかしくない状況下であったために
まぁ60点ぐらいはあげられる結果ではないだろうか。
結局はフットボールジグになってしまったが
やはり低水温期にはかなり強い部類のルアーになる事は自明の理だろう。
先日1日で7匹を上げたベイトフィネス+ネコリグというセッティングも
状況が良ければこれ以上ない結果をもたらすのだろうが
場所が絞れない、魚が動けないなんていうこの状況では
リアクション効果の高い+ライトリグよりはサーチ能力があるフットボールの威力は捨てがたいものがある。
もっとも今日はフットボール使うつもりはなかったのだが。
というのも、やはり私の中でフットボールは超フィネスな釣りになるために
ライトリグよりマシとはいえ釣り自体が遅くなってしまう傾向にある。
野池よりも広く馴染みの薄いリザーバーでの釣行では
効率性の面から出番はないと思っていたのだが……
結果としてはフットボールに助けられた形になったようだ。
フットボールを扱う上で
明確なバイト、アタリと言うのは極めて少ない。
大半は着底や木等に当たった時の感覚に酷似している
短く軽いカツッと言ったアタリ
もしくはまるでヘドロが纏わり付いたかのような
全く輪郭の存在しないただただ重たくなるだけのアタリ
それか、僅かに糸を揺らす・ふかす程度のアタリ
となる。
通常のワームリグ系のルアーと違い
ジグは針向き出し、ウエイトと針が固定され、誘い方としても食性以外の部分を刺激する事が多いことからも
魚がルアーを咥えてる時間は長くはない。
その為テキサスのように『聞く』という動作をしていると、バスがルアーを離してしまうこと可能性が高くなってしまう。
ゆえに、即掛けが必須となるわけだ。
今回のように
『アタリを感じる』というもっと前段階
『違和感を感じる』という段階で既にフッキングするというのは
思考を介在させない一般的反射運動の極地とも言えよう。
頭で分かっていてもなかなかこれはできないものだ。
どうしても人はアタリを確信もって感じてからフッキングを行いたいものである。
これが出来れば
口の中でジグが暴れ倒れる前にフッキングすることになるので
上顎の良い所に針が掛かるのだ。
上顎を貫いてる事が写真からも分かるだろう。
フッキングが遅れると、口の横や下に刺さる事も珍しくない。
上顎に掛かるという事は『違和感を感じ取って』アワせた証拠とも言える。
もっとも
私の考えるフットボールの極地から言わせて貰えば
『一般的反射運動』に頼ったこの一連の動作は三流と言ってもいいのだが……
一流はさらに速い。
しかもそれは『反射運動を超えた随意運動』であるのだ。
私が『侍』と称するその技術……
再現性は私でも高くはないが……
いずれ語る日がくるかも……しれない